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野鳥フォトグラファー 菅原貴徳の日々。オーロラの下での生活も昔のこと。まるでオーロラのように儚く行ってしまった。あの経験から、何を生み出せるでしょうか。
by taka_s-birds
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北へ スバールバルより -その5- 最終章
さて、長く続けたスバールバルの記事も、これで最後にしようと思います。

帰る前日。朝から夕方まで、1日の航海が予定されていました。午前中、フィヨルド内でプランクトンの採集と、CTD観測を行いました。プランクトンネットを揚げると、そこにはクリオネ!元気なまま研究室に持ち帰り、しばし顕微鏡で眺めていました。不思議な生き物です。日本で見られるのとは別種のようですが、もちろん近縁で、素人目には違いが判りません。

北へ スバールバルより -その5- 最終章_c0001429_2463520.jpg


順番が前後しますが、ここから航海中の写真に入ります。
氷点下、みぞれも混じる中での出港直後、真っ赤な夏羽のハイイロヒレアシシギが1羽、海面でくるくる回っていました。小さくしか見えなかったものの、その鮮やかなこと。それからキョクアジサシが1羽、コクガンの60羽の群れが飛んだりと、今後の航海に期待が持てるような出だしでした。特にキョクアジサシ、毎年南極と北極を渡る世界一の旅鳥として有名ですが、これを「極」で見れたことが素晴らしく、写真には撮れなくとも感動的でした。

前回の航海にもまして数多く見られたのがフルマカモメ。
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ハシブトウミガラスとヒメウミスズメの体格差はこんなものです。
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船の行先に結構な数の群れが下りており、近づく船を見て飛ぶものもいるのですが、なかには結構ギリギリまで粘り、結局船に追われるように飛び去るものや、潜ってその場をやり過ごすものも。
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途中、波が高く荒れる時間帯もありましたが無事にサンプリングを終え、午後は「ホッキョクグマを探そう!」と、細いフィヨルドの中を行くことに。そこで見た流氷の浮かぶ海の風景は、いつかテレビで見た極地そのもの。
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フィヨルド内部と言うこともあり静かです。氷の上では、アザラシやハジロウミバトが休息していました。アザラシはいずれも遠くて写真になりませんが、これらを狙うホッキョクグマはいないか、と友人みな血眼で双眼鏡をのぞき続けます。そう言う自分も探してはいましたが、今一つ、「自分は今、ホッキョクグマを探している」という状況が呑み込めずにふわふわしたまま、鳥を追っていました。今でも思います。自分がそんな場所にいたなんて、と。
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結局、2つのフィヨルドの内部を「隈」なく探したもののの「クマ」の姿はなく。まだ明るいのもあり、時間が経ったようには思いませんでしたが、この時ですでに15時過ぎ。港へ向かいつつ、鳥好きの僕を見た先生の好意で、人の近づけぬ崖にあるという海鳥のコロニーへ寄ることに。

見えてきました。上部が雲に覆われています。比較対象がないのでそのサイズを測ることは難しいかもしれませんが、どっしりと構えたような、そして奇妙な表面をした崖です。
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近づき、望遠で撮影。そして、後に拡大してみると、ちょうど雲の向こう側に、ものすごい密度で営巣しているハシブトウミガラスとミツユビカモメ。うーん、この密度で鳥を見た経験って、なかなかあるものではありません。これでさえ最大級のものではなく、スピッツベルゲン内だけでももっと大きなコロニーがいくつかあるそうですから、いかにして彼らの生息数が維持されているのかを感じます。崖の周辺では、当然のように、飛び交う沢山の上記2種が見られました。
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それから間もなく、鈍色の空を映す海での航海を終え、入港。
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研究室に移って(本来の目的で有る)プランクトンのカウントなどを行い、ほぼすべての行程が終了しました。朝から寮の裏の崖へ撮影に出ようと思っていたものの、思っていたより疲れていたのか起きられず、部屋を片付け、最後の自由時間に友人とこの
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道路標識の下で記念写真を撮り、大学前の芝地でユキホオジロを撮って終了。
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一週間ここにいることが出来たのはまだまだ未練はありながらも決して消化不良と言えるほどの短期間ではなく、多くのことを体感することが出来ました。このような機会に感謝です。多くに人がこのようなものを見れるチャンスがあれば見たいものだと思いますが、それを学生のうちに出来、今後いつでも思い出せることを幸運だと思います。

いつかまた、戻ってこれればと思いながら、スバールバルともお別れです。
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by taka_s-birds | 2013-06-09 03:24 | ノルウェー暮らしの日々2012-13
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