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野鳥フォトグラファー 菅原貴徳の日々。オーロラの下での生活も昔のこと。まるでオーロラのように儚く行ってしまった。あの経験から、何を生み出せるでしょうか。
by taka_s-birds
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「野鳥の撮影法」について
 さて、前の記事の続きです。柚木修さんの「野鳥の撮影法」(培風社,1985)。
「野鳥の撮影法」について_c0001429_03085195.jpg
 近年、デジタルカメラが普及し、これまでは比較的「難しい」とされて来た野鳥の写真も簡単に撮れると言われるようになりました。これには賛否両論あって、僕も僕なりの考えはあるのですがそれは置いといて。
 そんな時代に、敢えて昔のハウツー本を出して来ました。この本が書かれた今から30年ほど前、本の中で紹介されている当時の各社のカメラはみんなMF(マニュアルフォーカス)。自動露光が新しい技術とされているほどです。現在では、最新のものでは中野耕志さんの「デジタルカメラによる野鳥の撮影テクニック」(誠文堂新光社,2013)はじめ、たくさんの本が出ています。そんな中、昔の本に、今役に立つことなんか書かれているの?と思われそうですが、もっと大切なことがたくさん書かれていて、かなり考えさせられました。
 それの最たるものが、これ。
「野鳥の撮影法」について_c0001429_03443338.jpg
 機材の選び方や、撮影の仕方に入る前に、一章を使って、鳥への接し方が書かれているのです。「しかし、野鳥写真を撮影する人が増える事によって、野鳥の生息に影響がおよぼされることがあることも、決して見逃している訳ではない。本書ではその点についても言及してみた」(引用、まま)と。30年も前に、野鳥写真の人口が増える事を予期されていて、そして無秩序化が起こる事を憂いておられたということです。そして、本文中には、過去にあった撮影トラブル(主に営巣中の写真)や、保護上・敏感さの理由から撮影を控えるべき鳥なんてこともリストにされていて、あぁ、この時代にすでにもういろんな人がいたのだな、という事が分かりました。また、このような視点は、(自戒も込め)現在のバーダーに欠けているというか、そもそも浸透していないものなのかな、と思わずにいられませんでした。たった趣味で行う事なので、基本的に野鳥写真を撮る事は、相手(つまり被写体となる鳥)には何もいい事はありません。そこをお邪魔する訳です。現在の風潮は、この本の筆者の目にはどう映るのでしょうか。。。そもそも あれは駄目で、これはいい というのは人間基準で考えるのではなく、撮影中の野鳥の表情も含め、嫌がるそぶりがないか見て自分で判断する事だと思っています。が。大勢が情報に群がるような現在では、ひとりの判断の重みも薄れてしまうのでしょう。

 実は、この本に出会ったのはブックオフでのことでした。何気なくめくっていたら「モラル」という言葉が入って来て買わずにいられなくなりました。実は、前回の叶内さんの本の中でも、人とのいい関わりだけじゃなくて、衝突も多々書かれています。撮影マナーというのは、気にしない人は全く気にしないし、気になってしまう人はいろいろなものが目についてしまうもののようです。

 そして、撮影の実際に関しても、当時の「シャッター1回の重み」が違った頃の工夫というのは学ぶ部分が多いです。そして、その基本がないと、いくらいいカメラがあっても限界が来る、と。僕も、先輩から譲り受けたMFのレンズを長く使っていますが、工夫を重ねた結果、撮れたと思える作品が多々あります。逆に、最初から最新のものを与えられなくてよかったとさえ思います(それでも、若いうちに500mmを持てた事は幸運でしかありません)。

 前回の叶内さんの本と並び、古きものから得られるものは多いのでした。


by taka_s-birds | 2014-07-28 08:30 | 好きなモノ
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